脳イキ

第三章「男性がするべき事」

1 男性側の役割

ではここからは、オーガズムを阻害するさまざまな要因を持つ女性とセッ クスをする際に男性が持つ役割とは何なのかを考えていきたいと思いま す。 これまでお話してきたことを乱暴にまとめてしまうと「女性のオーガズム 不全の原因は肉体的な問題ではなくほとんどが精神的な問題である」とい うことが分かると思います。 つまり「触り方」や「どこを触ればよいのか」といった議論というのは不要になります。

脳が興奮していない状態で、Gスポットやらポルチオやらを触っても全く の無駄だということです。(男性はこの安易な発想をどうかやめていただき たい。やめられた人から女性を満足に導くことができるようになりま す。) では女性の心理的要因に対してどのような役割を果たせばよいのかを下記 に記していきます。

(A).追い越さないこと

(図「男性と女性の興奮速度の違い」参照) 「追い越さないこと」とは、女性の興奮点を男性の刺激の量が追い越さないことを言います。
よく女性から糾弾される「ガシガシ手マン(激しく摩擦や圧迫を与える手 マンのこと)」がこれにあたります。 そもそも様々な心理要因から女性は男性に比べて興奮の速度が遅いことは すでに説明をしましたが、それゆえに男性が下図の1の地点まで興奮をし ていても、女性は2の地点にいることが多々あります。

1の地点の男性は、この量の欲求を抱えていることになるので相手にその分だけ刺激を与えようとします。

ただ女性は2の地点の量しか欲求を抱えていないので、その差の分だけ 要らないものを男性から与えられていることになります。

この量が大きければ大きいほど「不快指数」が大きくなります。不快指数 が大きければそれは「痛い」と感じることになります。 「ガシガシ手マン」はこの最たるもので、興奮が刺激の量に追い付いてい ないことが多々あるため追い越された女性側からすると邪魔でしかないと いうことになるのです。 逆に言えば「ガシガシ手マン」は追い越していない状態(十分な興奮状 態)のときであれば不快な気持ちにはならないということも言えます。

実 際僕のお客さんの中で性交痛を訴えて依頼し、イけるようになった女の子にガシガシ手マンをしてみたところ叫び声をあげながらイっていました。

ただし相手の女性が「過去にそういった愛撫で嫌な気持ちになったことが ある」などマイナスの要因を抱えていた場合は、単純に刺激と興奮という関係ではなく、目に見えないマイナス要素を与えていることになるのでど ちらにせよおすすめはしません。

現に先ほどの女性は指を膣内に入れて動かさない状態でも叫び声をあげてイきます。

(B).追い越すこと

先ほどの項では「追い越さない事」ということを説明しましたが、この項では「追い越す事」の大切さを説明します。

前項と異なるのは「刺激と興奮」の関係ではなく「相手の表現する興奮を 追い越した興奮の表現をする」という事です。 8の「逃避」の項でもお話した通り、女性はセックスの際にしばしば心理的不安定から逃避をしようとします。

その逃避を防ぐ方法として男性が逃避をしないということが必要条件だと言いました。

女性の心理的性質から考えると、僕たち男性が表現している興奮(わかり やすく言うと「女性から見えている男性の興奮具合」)の限度でしか、女性は興奮レベルを上げることはできません。

もちろん男性を置いてきぼりにしてどんどん興奮レベルを上げていく人もいます。そういう、ある意味で優秀な女性についてはさておき、大抵の女性は興奮レベルで男性を追い越せないいのです。

だからこそ男性は女性よりも表現ベースで性的興奮をさらけ出すことが必要になります。

ただし、ここで難しいのはあまりにもかけ離れた興奮レベルを表現してしまうと女性は引きます。

簡単な話、「ちょっと良いかもな」と思っている女性に、勃起したチンコを押し付けるような表現の仕方をするのは追い越しすぎですよということです。

(C).受け容れてやる姿勢を示すこと

何度もお話ししている通り、女性と男性とでは「自分のセクシャルな部分」に対しての許容 度が雲泥の差ほどもあります。

「自分が何かの性癖をもっていること」や「性欲があること」「快楽に貪 欲であること」はもちろん、「気持ちいいと思っていること」すらも羞恥 し、自己否定します。

外観に騙されないでください。

いわゆるヤリマンのような女性でさえもこうした側面が多いにあります。 性に対して貪欲であるという外観と内心が一致していない場合は、いくら 実際に性行為にたいして貪欲であるという姿勢が見られてもオーガズム不全になります。

自分のステータスやアイデンティティとして「性に貪欲であること」を用いているだけで、実際の行為になった時にこうした女性は8の逃避行動に 出ます。 こういった現状を本人に自覚をしてもらう必要が、この場合はあります。

それはさておき、前述した「自己否定」ですが、この否定している部分を 受け容れられるようになりために必要な方法の一つとして「他人に受け容 れてもらうこと」というのがあります。

この自己否定の発端は「(好きな人に)嫌われたくない、引かれたくない」 といった理由が多くを占めます(もちろん普通でいたいという理由もありますが、これは「普通が正しいわけではない」ということを理解できれば問 題無いと思います。)

つまりセックスをする相手である男性がその女性に「嫌われない」「引か れない」ということを理解させることができれば、この否定している部分を受け入れられる のではないかという理屈です。

ここで留意しなければならないことは、こちらがいくら「受け容れる」と いう姿勢を示したとしても相手がそう思うことができなければ無意味であ るということです。

包容力というのは相手が感じるものであって、自分で誇示するものではあ りません。

受け容れてもらえるんだと、相手が感じられるようになるまで僕たちは 寄り添っていかなければならないのです。

2アプローチの方法

ここからはこれまでにお話した知識や問題点を踏まえて、どのように女性 に対してアプローチしていくことが良いのかということをお話していきます。

注意してほしいのは「セックス」を「実際にエロいことをしている時間」 という断片的な要素としてとらえないで下さい。

ですので、ここから記すアプローチの方法は実際の行為以前からのものだと理解してください。

(A).信頼関係

セックスには信頼関係が大切であるというのは方々で言われています。

では信頼関係とは何なのでしょう。 例えば「この人にお金を貸しても大丈夫」というのもある種の信頼ですよね。 でもセックスでオーガズムを得るために必要な信頼にこういうのは含みません。

もちろん「お金を貸したのに帰ってこなかった」という事実があったとし たらそれは雑念としてマイナス要因になるかもしれませんが。実際に「彼氏がネットワークビジネスにハマっている」という女性がいます。

それは彼氏としていても同じでしたが、そのネットワークビジネス云々の事実が判明して、それに加え色んな嘘が判明したということがあり、セックスの方も全く濡れなくなり潤滑液が必要になったとの事でした。

彼女の彼氏に対する不信感がもろにセックスに出てしまっている事例と言えます。 なので、ここで言う信頼関係を構築する以前に、人間関係を作るうえでの信頼関係というのは当たり前に構築しておいて下さい。(浮気を疑われているとか何をしている人かわからないとか)。

本題に戻りますが、オーガズムを得るために必要な信頼関係とは、簡単に言うと「自分の本能的な部分をさらけ出しても受け止めてくれる」というものです。

この信頼関係が強ければ強いほど簡単にイきます。

具体的には「自分の話をする」ということをします。

例えば、幼少期から家庭の事情が複雑だとか、逮捕歴があるとか、人並み以上にコンプレックスがあるとか

そういった自分の汚点のような過去を交えて、女性とコミュニケーションをとります。

「僕はあなたよりもこんなやばい人間なのだ」ということをたくさんお話しします。

もちろんこれで嫌われる可能性だってありますが、そういう人は対象にはならないと思っておけば問題ありません。

そうして自己開示しやすい土台を整えてるのです。

まず女性に対して行うべきことは、本人の気持ちのベクトルを自分に向けさせるという事です。

「あなたに私をさらけ出したい」「あなたに私を知ってほしい」と思わせることです。

信頼という土台がないと、何もあなたには解放してくれません。 またこの段階でしなければならないのは、相手の固定概念を覆しておく必 要もあります。

先ほど少し触れた僕の依頼者のように「この人に気持ちよくしてもらえる」と思っている女性は少なくありません。

「数撃てば上手い男に当たる」と思っている人すら多くいます。

「君は僕に全て任せるのではなく、自分で向かいたいところに向かうんだよ」ということを教える必要があります。

その話に信憑性を持たせるためには、自分は今までの男性と違って、ある 程度女性の心理などを理解しているという事を知ってもらうことも必要かもしれません。

「人任せにしない」という啓蒙を充分に行った上で、次にするべきこと が、次項の「どうなりたい」を探すということになります。

(B).願望の言語化

女性の「どうなりたい」を、適切に自覚してもらうためにはある程度言語化してもらう必要があります。

性というものが「何かいけないもの」というイメージがある以上、性的 願望は普遍的に簡略化して考えられがちです。

例えば女性の中でも多い願望が「イってみたい」というものですが、それはこの最たるもので、深く自分の願望と向き合わず、なんとなく一般的に快楽の最上級が「イく」ということだから、イく事ができるようになると不満はなくなるのではないかと考えているわけです。

本当はそうではないはずで、セックスをしている際に、様々な要因で自分 の思ったような興奮が得られなかったり、それゆえに快楽が得られなかっ たりすることが不満なのであって、それを一般論を用いて思考停止のよう に「イってみたい」と問題を簡略化してしまっているのです。

そうだとしたら、正しい願望の言語化は「めちゃめちゃになりたい」とか 「すっきりしたい」とかになるはずです。

この願望の正しい言語化をする過程で自分の欲求を自覚する必要があり、 その自覚をすることで自覚した「欲求」に向かうことができます。

これは性癖の話でも同じで、性癖というのは、欲求を自覚しその欲求へ向 かうためには掘り下げていく必要があります。

例えば「痛いのが好き」という性癖を掘り下げていくと「追い詰められた い」や「ゴミ同然の私に痛みを与えてもらうことで安心したい(本来の地 位に落ち着いている)」といった願望が見えてくることが多々あります。

「追い詰められたい」は、苦痛を与えられることで無視できない精神の高まりを強制される事を実現できます。

人は快楽から逃げることはできても苦痛からは逃げることはできません。

欲求や快楽からどうしても逃避してしまうことから、苦痛という逃げられないもので「追い詰めてほしい」と考えるのです。

「安心したい」はこれまでの人生の過去になにか著しく自己肯定感を下げるような何かがあったのかもしれません。

こうして自分の性癖に隠された欲求を自覚することによって自分 が本当に向かいたい方向へ向かうことができ、それゆえにこの願望の言語化という過程が必要になるのです。

(C).実行

ここがいわゆる「触り方」という、世の男性女性が好きなところです。 これまで「触り方をいくら論じても無意味」と言ってきましたが、ここで は汎用性の高い事項について書いていきます。

1. 刺激の与え方は弱→強

これはなにも最初はクンニを優しくして、のちに激しくするという点に留まったものではありません。

物理的に言えば、神経は刺激を受け取るものですが、人体に分布している 神経には太い細いがあったり、場所によっては密集していたり少なかったりします。

例えば手の神経は末端にいくにつれ細くなり、当然細い神経よりも太い神 経のほうが刺激をより受け取ります。

単純にその点だけを見れば、末端から刺激を与えていくことになりますね。

しかしこの人体の構造をベースに、さらに人間の心理を応用します。 例えば「刺激」と言えば、代表的なものは「触る」なのですが、こういっ た固定概念がある以上、刺激を欲している側はすなわち「触られること」 を欲しています。

仮に刺激を数値化した場合に、大きな音を聞かせるよりもどこかを指先で なぞった方が、数値的には少ないかもしれません。

ただ「触られること」を欲している場合においては、「刺激の受け取り 量」は逆転します。

それは単純に「欲しているから」なのです。 こうしてみていった場合、相手に刺激を与える場合「聴覚」や「視覚」に 対して刺激を与えることから始めることが一つの良策ではないかという結 論に至ります。僕は依頼中に実際に刺激を与える際には、カウンセリング の一環としてヒアリングした相手の「性癖」を参考に即席のエロストー リーみたいなものを頭の中で構築して聞かせたりして、性的欲求を誘発す るということをやったりします。

もしくは、視線を相手の体に意識的に這わせることで「視線による刺激」 を与えたりもします。 電話依頼で脳イキした女性もいますが、この場合は例えばエッチな雰囲気 になってきたときにわざと吐息を漏らしたりして聴覚に対して刺激を与え ることをすることもあります。

これは「本人の想像力」による刺激ですが、言葉攻めの応用みたいなもの です。

少し話がずれますが、言葉攻めが苦手な人のために参考になればと思いま すので、言葉攻めについて言及すると、言葉攻めには大きく分けて3つの 種類があります。

一つ目は「相手の変化を言語化する言葉攻め」で、二つ目は「想像をさせる言葉攻め」、三つ目は「加虐をする言葉攻め」です。

一番簡単なものは「相手の変化」を言語化するものです。

「腰が動いている」「濡れている」などの言葉攻めがこれにあたります。

前述したものは二つ目の「想像させる」ことを意図しています。

女性は男性に比べて想像力が豊かな生き物だと僕は思っていて、それなら ば僕が実際に刺激を与えるよりも、その人の持つ想像力を使って自分に刺 激を与えてもらった方が効率的だと思うのです。

吐息を漏らすことによって相手は「なにかエロいことをしているのでは」 「電話の向こうでオナニーでもしているのではないか」と想像したりしま す。

その想像で興奮し、その想像で気持ちよくなります。 その後さらに分かりやすい吐息や声を聴かせるといった具合に相手の想像 力に任せた刺激の与え方というのができます。

視線による刺激にしても、想像力を利用した刺激の与え方にしても同じで すが、こちらの意図通りに刺激を受け取らせるためには、ある程度相手に 分かってもらう必要があります。

そこで重要になってくるのが10(B).に書いた「追い越すこと」なのです。 僕たちはこういった刺激を「真剣に」「本気で」「恥ずかしがらずに」や る必要があります。

実際に「触る」という刺激の与え方をする際にも、「静」から「動」へと いったように「動かさない」という触れ方もできます。 前述した「指を入れているだけでイく女性」は、膣に指を入れると自分の 膣のうねりでオーガズムを得ます。

こうして僕たちが動かさなくても相手が動くこともあります。

2. 不足を与える

これは10(A).で書いたことと同様になりますが、実行において最重要の事項になるのでもう

いちど書いておきます。 僕たちは刺激をするうえで、女性の興奮を追い越してはいけません。

先ほどは「追い越すこと」による弊害を書きましたがここでは「追い越さ ないこと」によるメリットを書きます。

例えばある女性に3の欲求(刺激を欲するレベル)があったとしたら、多 くの男性は5の刺激を与えてしまうというのが現状です。

これを、2の刺激しか与えないというのが、効率的な刺激の与え方である といえます。

食に例えるとよくわかりますが、空腹の人に「さらに食欲を増進させるた めにはどうすればいいか」を考えると、カレーを食べさせると満足をする ので、カレーの匂いや、カレーの画像を見せるとさらに空腹度が増しま す。

理屈で言えば、欲求に満たない刺激を与えるので、興奮(性的欲求の高ま り)は満たされることなく上がっていきます。

そうすることである地点に到達すると、性的快楽は「イきそう」という加 速地点に入り、オーガズムへと向かうのです。 オーガズムを「ブレーカーが落ちる現象」ととらえていただくと分かりや すいかもしれません。

人は右肩上がりに興奮し続けるとどうなるかというと間違いなく死にま す。

興奮は血流を高め心拍数を上げるので(興奮して鼻血が出る現象を想像し てください)、これがある地点を突破すると人体は耐えられなくなりおそ らく脳出血や心臓発作で死にます。

なので、人体に「オーガズム」という現象を起こす機能を搭載することで 冷静な状態に戻るのではないかということです。 と考えると、ひたすらに興奮を高める刺激を与えることで「オーガズム」 は誘発されるのです。

その興奮の高め方の手段が「少し足りない刺激」を与え続けるということ になるのです。

つまり僕たち男性は「待つ」という作業をしなければなりません。

女性の「足りない」という状態を待つのです。

逆に自分が刺激を与えても「足りない」という状態にならない場合は、その刺激が「要らない」という可能性もあります。 触ってもうんともすんとも言わない場合は、それを激しくするのではなくやめて下さい。

あくまでも僕たちは「欲しい」という声を聴くまでは与えないほうがいい です。

余談ですが、前述した「痛いのが好き」という性癖についてお話しておくと、この「不足を与える」という刺激の与え方をしていくと、どこかで 1000の興奮(性的欲求)に対して998の刺激を与えることになりますが、 この998の刺激というのは本来人体は「痛い」と感じるレベルの刺激です。

にも関わらず、欲求のレベルが1000なので「痛いのに気持ちいい」という現象が起こるのです。

3. 好きなものを与える

これに関しても食に例えてみるとわかりやすいのですが、食欲の高まりを導くためには好き なものを示唆してやることが一番効果的です。 カレーが好きな人にはカレーのにおいを嗅がせるとお腹がすきますよね?

逆にカレーが嫌いな人にカレーのにおいを嗅がせると食欲は失せます。

性行為も同じで、嗜好が被虐なのであれば加虐、痴漢が好きなのであれば痴漢、といったように相手の嗜好に合ったものを与えることが一番効率的な刺激の与え方になるのです。

11(B).の願望の言語化の項でしたことが、ここでは活きてきます。 相手が表現してきた「好きなこと(性癖等)」をそのままするのではなく、 それを掘り下げた時に見えてきたものに対してコミットしてください。

4. 環境を整える

当たり前のことですが、これはセックスをする際にどのような環境で行うことが良いかとい

うことです。 ぼくは初見の女性とお会いする場合、必ずカフェなどの公共の場でお会い します。 密室に連れていくことで、女性の「何をされるかわからない」という不安 をできるだけ払拭するというねらいがあります。

また陣取る座席も端の方を選択し、基本的に僕が壁側に座ります。

女性を壁側(上座)に座らせるのは男性がすべきエスコートの方法だと一 般的には言われていますが、壁側に女性を座らせた場合の女性の視界と、 そうでない場合の視界との違いを勘案した結果、視界に壁とぼくしか入らないように位置取りをした方が、会話も含めて集中できるからです。

また室温や光量、音などにも考慮した方が良いのは言うまでもありませ ん。

室温に関しては、例えば寒いと血流が悪くなり、快楽の発生において重要 である筋肉の収縮と弛緩に大いに影響を及ぼします。 光量に関しては、明るすぎると必要以上に羞恥を煽り、暗すぎると逃避し やすくなります。

そういう意味では、間接照明や電球色の照明を導入することが最善ではな いかと思います。 音に関しては、なにも無音が良いわけではありません。

なぜなら無音というものはあり得ないからです。

必ず何かの生活音があったり、声を発せばその声が反響して自分の耳に 入ったりします。

ではどうすることが最善なのかというと、人間が一番リラックスできると いわれている周波数であるソルフェジオ周波数を用いることだと思いま す。

この周波数は528Hzといわれていて、この周波数を利用したのがいわゆる ヒーリングミュージックというものです。

このほかにも様々な環境を、可能かつ無理のない範囲で整えることが、 オーガズムに導く効率的な方法ではないかと思います。

(D).越えさせる

ここはぼくも難しいと感じる点です。

図「オーガズムのグラフ化」における加速している時点(イきそうという 感覚の部分)に差し掛かった時に、それまでオーガズムを得られなかった 女性の多くは「恐怖」を感じます。

この恐怖が原因で急激にブレーキがかかりオーガズムに至らないという事が多々あります。

この一線を越えさせるために、ぼくは二つの方法をとります。

相手によって使い分けが必要ですが、基本的には前者の方法が有効だと思 います。

一つ目は​「迎えてやる方法」​です。 これは「待つ」ということに他ならないのですが、こちらが焦って追い越 すようなことがあっては、女性は「男性からのイくことの期待」を感じ越 えることができなくなります。

「越えることを待つ」というよりも「越えてもいい」というスタンスで待 つことが大事なのではないかと思います。

言葉でも、身振りでも「おいで」と表現をするのです。これはこの時点でのみ表現しても仕 方なく、信頼関係の構築の段階から積み重ねていく必要があります。

二つ目は​「煽る方法」​です。

具体的には、相手の感覚の高ぶりと同じように自分の言動を激しくすると いうことです。 ただし腰の振り方を激しくするとか、そういったものではありません。

刺激の与え方という点で言えば、「イきそう」となっている時点では一定 の方がいいとされています。 それ以外の部分に関して、例えば「イく、イく」と耳元で連呼してやるとか「イけ」と命令 してやるとか、そういったことになります(相 手の感覚の高ぶりに合わせて)。

よくツイッターで脳イキ動画をあげている人が「イけ」と命令しているの はこの方法で、どちらかと言えば無理矢理イくことを強要している感じに なります。

何事もそうですが、自分のタイミングというものがあるので基本的には 命令されてイくことを強要されるよりは我慢が出来なくなった段階で快楽 を爆発させることの方が快楽の大きさは大きいと思います。

ただ、越えられなかった一線を一度は越えさせる必要があるので、こう いった方法で越えさせることも有用ではないかと思います。 ここで大切になってくるのは、女性側にも必要なことがあるということです。

男性がいくら「迎える」にしろ「煽る」にしろ、方法を取ったところで女性側がそこに応じないと何の意味もないからです。

それは「覚悟をする」ということです。

僕は自分のお客さんに対して「越えたいなら越える覚悟を持とう」という 話をします。

「越えたい」という願望の自覚があり、なおかつ「越える覚悟」が必要 であり、僕たち男性はその「越える」という作業の補助者でしかありません。

「イかせてもらえる」という考えを女性に捨てさせることは、やはり必須になってきます。

(E).フィードバック

ぼくがなぜたくさん女性のことについて知っているかというと、たくさんのお客さんに対してカウンセリングを行ってきたという経験もありますが、そもそもこの仕事を始める前にイ ンターネットで知り合った女性とセックスをしまくっていた時期にこれを怠らなかったからです。

とにかくセックスをする度に、眠くても面倒くさくなっても、相手の女の 子に「足りなかったところ」を軸に、聞いて回りました。女性は「僕のセックスどうだった?」と聞くとほとんどが「良かった」と答えてくれます。

これではなんのフィードバックにもなりません。 ではどうすれば女性の本音を聞き出すことができやすくなるのでしょうか?

まずフィードバックしてもらいたい点ですが、自分の知識や経験を増やす ためには「改善すべき点」に加え「自分の良かった点」も知る必要があります。

これらを答える「義務」を作ってやれば、女性の「理性」を逆手に取り 「答えなければならない」と思わせることができます。

良かった点に関しては継続し、悪かった点に関しては改善をしていけばお のずとセックスの質は向上します。 ぜひこれらの工程をしっかりと理解したうえで、実行していってほしいと おもいます。

3願望を言語化するために

願望を言語化することの重要性は前述しましたが、実際に他者の願望を言 語化するためにはどのようなことが必要になるのかを最後に見ていきたい と思います。

願望の言語化をするためには相手が出してきた答えにさらに「なぜ?」と 問う必要があります。

もちろん「なぜ?」と問うて簡単に答えが出るものではありません。

僕は依頼中に例えば先ほど11(B).で挙げた痴漢の例のように自分の話をし ます。

もしくはこれまでお話した女性を例にしてみることもあります。

これらができなくても、相手が出してきた答えに思考を巡らせることに よって想像をしてみてください。 とにかく考えうるものを「ヒント」として提示してあげてください。

本人 が答えを出すものですが、僕たち男性の役割はその答えを導くために補助 をしていく必要があるのです。

相手との間に「さらけ出したい」という信頼関係の土台があれば、自分に 見せてくれるために能動的に思考してくれます。

この「願望の言語化」の項において、ひとつの答えを提示しておきます。 願望の掘り下げをある程度のところまでやると「(こんな自分を)許され たい」「認めてほしい」というものが出てきます。

はじめはこうした「よくある結果」を仮説として持った状態で相手をそこ に導いてみるという方法でもいいと思います。 僕は依頼中に「寂しくないか?」と良く問います。

人間は「自分をさらけ出せる相手」というのはそんなに多く持っていません。

相手の寂しさの根源を追求し、その満たされない思いを「認めてほしい」 「許されたい」というように自覚し言語化する事ができた時に、欲求の自覚はできるのではないかと思います。

最後に これまで長々と書いてきたことを読んでいただいて、ありがとうございま した。

どうだったでしょうか?

乱暴なことを言うと「女性をオーガズムに導くということは面倒くさい事」なのです。

もしくは「女のイくとかどうでもいいわ」と割り切ってこころゆくまで自分本位のセックスをして下さい。

ぼくは思うのですが、なぜ女性の「気持ちいい」を男性が担保して当然と思われているのでしょうか。

それってすごくおかしいことではないでしょうか。

自分の「気持ちいい」くらい、自分で責任持てよ、と。

そうした思考が世の中に浸透してほしいと思います。

「セックスにおける自己責任論」が浸透することで、今たくさんの性的搾取にあっている女性も、搾取されずに済むのではないかと思います。

自分本位なセックスが正しいとは思いません(もちろん誤りだとも思いま せん)。 好きな相手に気遣いができることを美しいとも思います。

「好きだからできること」なのではないかとも思います。 相手のことが好きなのであれば、この面倒くさいことも面倒くさいと思わ ないかもしれません。 もしくはその他に「満足度の高いセックス」がもたらす利益を見いだせる のであれば、面倒でもできるかもしれません。

そういった方々は、ぜひ実践してみてください。

またここで書いたことの全ては「誰が悪い」というようなものではありません。

わかりやすくするために例えば「女性のセックス時における興奮阻害の心理要因」と書いたりしていますが、この要因を抱えているからと言ってそれが「女性が悪い」というものではありません。

これは単なる事実であって、その要因を抱える原因は男性の振舞いにも多々あります。

何かの「結果」というものは、そこに関わった人全てに「原因」があるものです。

「責任」ではなくて「原因」があるのです。

その原因をお互いが解消していく事が大切な事だと考えて下さい。