脳イキ

第一章 「性行為についての知識」

第一章 「女性についての知識」

   

1 脳イキとは

脳イキとは、性器に触れずに性的快感の絶頂に達する事をいいます。

通常は、オーガズムに達するには女性器や乳首への刺激が必要になりますが、脳イキでは身体への刺激ではなく脳への刺激によってオーガズムを感じる事ができます。

音や言葉などから妄想を通して興奮度を上げて、どこも触らずにオーガズムに達してしまうのが脳イキです。

どのような現象か例に上げてみると

どのような現象か例に上げてみると

(1)言葉責めでオーガズム。

(2)キスでオーガズム 。

(3)イラマチオでオーガズム。

(4)身体を叩くとオーガズム。

(5)縛られてオーガズム。

(6)「イけ」と命令されるとオーガズム。

など性器に触れずに女性がオーガズムに達してしまう事を言います。

ちなみに、​脳イキは催眠術ではありません。

ちなみに、​脳イキは催眠術ではなく「興奮を高める」というものなので、特別な能力などは必要なく一般男性でもできるようになります。

また、「脳でイく」というのも違います。

妄想や音声を聞いて聴覚や視覚から脳を刺激してオーガズムに達する。

「脳イキ(性器を刺激してオーガズム)」も「性器を刺激してオーガズム」もメカニズムとしてはじようなものとなります。

   

2 オーガズムの条件


そもそも皆さんは「オーガズム(イく)」とは何なのかをご存知でしょうか?

まずはオーガズムの条件についてお話していきます。

女性にオーガズムが起こる時、身体には以下の現象が起こっています。

(1)骨盤底筋の収縮と弛緩

(2)精神的解放

(1) まず​「骨盤底筋の収縮と弛緩」​についてですが、人間には骨盤という骨が存在することはご存知かと思います。
骨盤下部は空洞になっているので、その空洞から内臓が落ちたりしないよ うに筋肉の膜が張ってあるのです。

その筋肉群のことを骨盤底筋(群)と言います。
その骨盤底筋が収縮と弛緩を繰り返すことにより性的快楽を得ることができると言われています。
後述しますがこの収縮と弛緩は痙攣として身体に表れ神経を刺激し仙骨か ら脊椎を通り脳へ快楽信号を送ります。

よくAVなどでイく演技をしている女優さんが腰のあたりをビクビクさせているのは、これが起こっていることを表したいのだということです。
ただし重要なのは、この「骨盤底筋の収縮と弛緩」があるからと言って オーガズムが起こっているかどうかは判断できません。

なぜならこの現象が起こっていても(2)の「精神的解放」が起こっているか は分からないからです。

例えば、「パートナーに『君はイってるよ』と言われたんです。」と言ってくる女性がいるとします。この男性パートナーは、骨盤底筋の収縮と弛緩のみでオーガズムの有無を判断しているという誤りがあるということがわかります。

  

(2) 次に​「精神的解放」​ですが、こちらはさらに分かりにくいもので本人の感覚でしかありません。

医学的な知見から言うと​「ドーパミンが大量に分泌されている状態」​を指します。

人間は社会性に富んだ生き物で、通常時には脳の中の大脳皮質という「思 考」を司る領域を活発に働かせながら活動をしています。

分かりやすく言えば「理性」を保った状態です。
それが性的興奮を得ることで大脳辺縁系という「欲望」や「情動」といっ たものを司る領域が活性化し「本能」的な状態へと移っていきます。

より大脳辺縁系の活動が活発になり、それによってドーパミンが大量に分 泌されることでオーガズムが引き起こされると考えられています。

実際に医学の世界ではパートナーとの行為中の人間の脳波を調べたところ、愛撫を受けている人の「不安」や「恐怖」といったものを処理する脳の部分がリラックスし活動を低下させているという結果も出ています。

ただ、これらの事象については、外観上分かるものではなく、本人の感覚によるものであって、オーガズムが起きているかどうかというのは本人にしか判断ができないと言えます。

だから男性の皆さんは、女性に対して「イってるよ」と断定したり、 「イってるのでは?」と自分の感覚でものを言うのはやめましょう。
あくまで本人の判断が一番正しいものなのです。

これらの事項をオーガズム不全の女性に知識として教える事はとても有用です。

目に見えない感覚的なものを自覚するのは、長年「イってみたい」と願っている女性にとっては困難な場合もあるからです。

これはごく稀に「イってるのに気付いていない」という人がいる原因でもあります。

「オーガズム」に対する期待が高まりすぎていると、小さなオーガズムを認識できないのです。

こういった方に上記の知識を提示してみることは効果的だと考えられま す。

さらに感覚的に理解をしてもらうために図「オーガズムのグラフ化」を添 付しておきます。

(点線の部分は小さなオーガズムと大きなオーガズムがあることを表していて、垂直に落ちる点線は男性の興奮の落ち方、右肩下が りに落ちる点線は女性の興奮の落ち方を傾向として表しています。)

  

3 快楽を得るメカニズム

前項でお話した通り、性的快楽は骨盤底筋の収縮と弛緩によって引き起こされます。
セックスの時に女性に与える刺激が、どのようにその女性の骨盤底筋に作用しているのかを見ていきましょう。

例えば同じクリトリスに刺激を与えるとします。

状況によっては「気持ちいい」と感じる時もあれば、そうでないときもあります。
性行為中の刺激であれば「気持ちいい」と感じることが多いかもしれませ ん。

しかし、自転車のサドルに乗っているようなときはどうでしょうか?

このように同じ場所に刺激を与えたとしても、状況によって様々な異なる感じ方をするのです。

ではどのような状況で刺激を与えると「気持ちいい」と感じるのか。

当たり前ですが「性的興奮」を感じている時です。

脳が「性的興奮」を感じているときに、クリトリスに刺激を与えると「気持ちいい」と感じるわけです。
「クリトリスを触る=気持ちいい」でも 「膣内に指を入れる=気持ちいい」でもないわけです。

先述したように「手マンのやり方」を学んだところで意味がないというの は、脳に性的興奮が起こっていなければ、何をしても無駄だからというこ とです。

逆に言えば、脳に性的興奮が起こっていればどんな触り方をして も、どこを触っても気持ちいいということが言えます。

なぜ「どこを触っても気持ちいい」といえるのか。

例えば「壁叩く音でイく人」は何の刺激をどこで受け取っているのかというと、「音」という刺激を「耳(聴覚)」で受け取っています。

「触ること」も「音を鳴らすこと」も刺激には変わりなく、「耳」も「クリトリス」も刺激を受け取る「感覚器官(受容器)」には変わりないのです。

世間一般的に思われているように、クリトリスや膣内が性的快楽を受け取る専門の受容器なのであれば、女性は自転車のサドルには跨がれないことになりますしタンポンは売れませ んよね。

これは僕の個人的な考察ですが、なぜ膣やクリトリス、陰茎が性感帯(性 的刺激を受け取りやすい場所)と言われているのかというと、その場所の 触れられる状況がすでにエッチなことである場合がほとんどだからだと思います。

もちろんクリトリスにはたくさんの神経が集まっているので「刺激を受け 取りやすい場所」ということができますが、それは決して「性的刺激を受 け取りやすい場所」ではないわけです。

このように「受容器」と「脳」の関係をみていくと、「脳が性的興奮を感 じている時に、受容器に対して刺激を与えることで、その刺激が性的快楽を引きおこす骨盤底筋に作用する」という結論が導き出されるわけで す。(※図「興奮時と非興奮時」参照)

つまり​「興奮していれば、クリトリスだろうが耳だろうが足首だろうが気持ちいいと感じる」​ということなのです。

これが1の最後で先述した、「脳イキ(性器に触れずにイくこと)」も「性器に触れてイくこと」もメカニズムとしては同じということなのです。

この仕組みを理解していると、脳イキというものが都市伝説でもなんでもなく単純に「気持ちいい」の延長にあるものだということがお分かりいた だけると思います。

    

4 性的興奮とは

前項では「脳に性的興奮が起きていることが大事!」ということをお話しましたが、そもそも性的興奮とは何なのでしょう?

答えは「性的欲求の高まり」です。

「高まり」と言うからには何か高めるものがあるわけです。
この性的興奮 の客体は「性的欲求」です。 脳の性的興奮を高めるということは、性的欲求を高めるということに他な らないのです。

性的欲求を高める為に必要な条件は「本人がその欲求を自覚しているこ と」「本人が自覚している欲求を自己許容できていること」のふたつで す。

男性には少し分かりづらい部分かもしれませんが、女性の脳(もしくは社会 的価値観から生まれた各々の価値観)では「自分が性的欲求を抱えているこ と」や「自分が変わった性癖や性的願望を抱えていること」は極めて自己 否定しやすく、それゆえに自覚をしていなかったり認められないことだっ たりします。

僕のお客さんには「オナニーでもイったことがない」という人がいますが、こういう人たちが口を揃えて言うのは「途中で我に帰る」ということ です。

かすかに性欲を感じると、オナニーをするという行動に出ます(もち ろんこの行動にすら出られない人もいますが)。

その行動(刺激を与える)がその人の性的興奮を高めます。
そうしていくう ちに、性的興奮がその人(の理性)の許容できない水準の大きさになりま す。

ここでいわゆる「ブレーキ」がかかるのです。

興奮状態は良くも悪くも「普段の自分ではない自分」を生み出します。

これを許容できないのが女性という生き物であるということを理解してください(個体差はありますが)。

余談ですが、不感症の女の子に「オナニーをして感度を高めて」というア ドバイスは世間的認識としては誤っていると思いますが、方法としては正 しい物だと思います。

オナニーをしてクリトリスや膣の物理的感度が上がるわけではありません。

オナニーをして性的快楽を得たり、オーガズムを得ることで自分が許容で きなかった欲望や情動を許容していくのです。

   

5 脳内分泌物質による感じ方の違い

よく一般的に「心が満足する」とか「体が満足する」とか言われますが、 心(脳)と体は繋がっているものなのでこの表現は正しくないと思っています。

体に対しての刺激の伝達は脳の状態がどうあるかに起因するものなの で、体が満足しているということは同時に心(脳)が満足をしているという事なのです。

この感じ方の正体は、脳内分泌物質に隠されていて、みなさんが「心が満足する」と言っているのはオキシトシンという脳内分泌物質が分泌されて いる状態を言います。

一方で「体が満足する」と言っているのはドーパミンという脳内分泌物質が分泌されている状態を言います。

オキシトシンは別名「幸せホルモン」とも言われていて、キスやハグなど のスキンシップをはじめ、感動したりしても分泌されます。

このオキシトシンは、分泌されることにより「安心感」や「幸福感」をもたらします。

もちろんオーガズムを得ることでもこのオキシトシンは分泌されますが、 そうでない場合にも分泌されるのです。

オキシトシンが分泌されパートナーとの間に「安心感」や「幸福感」を感じる事で「満足感」を得ることができます。

これが俗に言う「心が満足している」という状態の正体です。

次に「体が満足している」という状態は、ドーパミンが大量に分泌された状態をいいます。

ドーパミンは前述した通り「欲望」や「情動」などのより本能的な脳の領域が活性化した状態で分泌されるものです。

ドーパミンが分泌されることによって「解放感」や「多幸感」を得る事ができます。

僕は「オキシトシン」「ドーパミン」どちらが優位とかそういうことは思っていないので、人によっては「イくかどうはは重要ではない」と言う人がいてもいいと思っています。

  

人が何を重要視するかは人それぞれで、セックスになにを求めるかも人それぞれなのです。
ただこうした違いを理解しておくことで、「イかせたい」と思う相手に、 その相手のどの部分を啓発していくかが分かってくると思います。

また脳内分泌物質とは関係はありませんが前項に関連して言うと、この「感じているはずの満足と欲求(僕のところに来て「解放感を得たい」というもの)の齟齬」は、「好意を持っているパートナーとの行為に満足してい ない自分」を許容できていないという側面もあります。

「好きだから気持ちいい」というのは、たしかに理想的な姿かもしれませ んが、残念ながらそれが簡単に実現するほど女性の理性というものは軽いものではないのです。

「好きだから嫌われたくない」とか「好きだから美しいままでいたい」と 思うのが傾向として女性に多いです。

実際、「彼氏とセックスをしてる時はいかに『可愛い』と思われるかが大事」という人もいます。

そうではなく、さらけ出してもいいと思わせる事が大事になってきます。

とにかく「好きだから気持ちいいはず」という頭を捨てることで、自分に 足りていない充足感を自覚できるということを知りましょう。

何事も「足りていないこと」を知らないと、満たす事はできません。

6 オーガズム不全の原因

セックスでイくことができないことを「オーガズム不全」と言います。

医学用語なので、セックスでイくことができないことはある意味で疾患であると言えます。

ただ「疾患=治療が必要」ではないので、なにも悪いことではないのです。

僕も生まれつき色弱なのですが桜の花の色がよくわからないくらいで 特に生きていて難しいことはありません。

セックスでイくことができないことが何か悪いことであるという固定概念を捨ててください。 そうすることが「イけるようになること」への一番の近道だと思います。

そしてこれを男性が持つことで女性もそう思えるようになり、女性自身が 「イくこと」へ近づくわけです。

では表題の通り「オーガズム不全の原因」を見ていきます。

オーガズム不全には3段階あります。

「A.そもそも快楽を感じ ない(痛いetc. )」

「B.気持ちいいけどイけない」

「C.イきそうになるけどイけない」です。

A. そもそも快楽を感じない(痛いetc. )

この状態は、身体的な要因がある場合もあります。

性交痛にも「摩擦が痛い状態」と「圧迫が痛い状態」があります。

摩擦が痛い場合は粘膜に何らかの擦過傷があるとか、粘膜が弱いとかそう いった原因があることが多く風俗の仕事をしている人に多く見られます。

圧迫が痛い場合は、身体が硬い場合が多く、股関節のストレッチ等が必要になります。

またその他にも直腸に大量の宿便があると、膣壁を指や陰茎と硬くなった宿便が挟んでいる状態になって痛みを感じたりします。

僕の知り合いにこの宿便を除去する仕事をしている人がいて、人によっては合わせると拳くらいの大きさの宿便が取れた人もいるようです。

身体が硬くないのにも関わらず圧迫が痛い人は心理的な要因がある場合が 多いです。

例えば処女の女の子が初めてセックスをする場合に「痛い」とか「血が出る」といった情報はほとんどの人が知っているもので、それ故に処女の女の子が初めてのセックスに臨む時はほぼ100%の人が「不安」を抱えています。

人は痛みを感じるかもしれない状況になったときに身体が硬直するようにできています。

車に轢かれそうになったときに身体が固まって動けなくなるのもこれに当たります。

身体に力を入れて硬直させると当然筋肉が固まっている状態になるわけなので膣も広がりにくくなっています。

硬く広がりにくくなった膣に硬いもの(性器であったり指であったり)をいれるので当然痛いという結果になります。

B.気持ちいいけどイけない

この状態は、ほぼ100%心理的なものが要因です。

第4項でお話しした「興奮」が阻害されていることでうまく気持ちいい状態から先に進めないといった感じになります。

ある程度、自分の性的欲求や願望を許容できていても社会的風潮からくる 「思い込み」が「気持ちいい」を大きくできていない場合もあります。

例えば多くの場合セックスは男性がリードするものです。

おそらく1時間のセックスをしている場合前戯の時間を45分とするとほとんどが、男性が能動的に行為をしている時間だと思います。

女性が男性に対して前戯をする時間は長くても15分程度じゃないでしょうか(フェラチオ15分やってくれる女の子最高ですよね)。

挿入時なんてもっとその差は顕著で、ほとんどが男性が動いていますよね。

で、これがダメかというとそうではないのですが、目に見えていない 「刺激の受け取り方」という部分で、女性は「ただ受け取っている」だけの人が多いです。

僕たち男性は例えばフェラチオをしてもらっている時に、その刺激を「ただ受け取っている」人は少ないと思います。

腰を動かしたりどこかに力を入れたり呼吸が変わっていたりとにかく自分の「気持ちいい」を高めるためにひたすら集中しますよね。 これが僕たち男性の基本的な「刺激の受け取り方」で、その反面女性はほとんどの場合「ただ受け取っているだけ」なのです。

これはセックスにおいて男性が女性を「気持ちよくするもの」だと思っているからではないでしょうか。

それは多くの男性が女性に対して「イかせる」とか「イかせた」、もしくは多くの女性が男性に「イかせてもらう」とか「イかされた」という表現を使っていることからも分かります。

ここで言いたいのは「女性が楽をしている」とか「サボっている」「人任せだ」と糾弾したいわけではなく、こういった思い込みが阻害要因になっ ているということです。

「自分から気持ちよくなりにいく」ということで「男性から見られた時にどう思われるか」やそもそもの女性自身の倫理観的な部分で阻害になっていることを知って下さい。

前述したようにこの「自分から気持ちよくなる」を育てるのがオナニーだったりもするわけですね。

余談ですが「気持ちいい」と感じることができている人が「体質」などの 問題でオーガズム不全になっていることはほぼありません。

性的快楽のメカニズムの項でお話したように刺激は「受容器→神経→脳→ 神経→筋肉→神経→脳」と伝って、オーガズムを生じさせます。

つまり体のどこかに異常があってオーガズム不全になっている場合「受容 器」「神経」「脳」「筋肉」のどれかに異常があると言えます。

そうだった場合、伝達要素に問題があるということなので刺激は快楽自体を生み出さないということになります。

つまり体質でイくことができない人がいるとしたら、その人は「気持ちいい」と感じることすらできないはずなのです。

C. イきそうになるけどイけない

この場合が一番難しい問題で、イきそうになるのにその先にいけないとい うのは大抵が「恐怖」とか「不安」を抱えていることが多いです。

Bの場合は「自主性」や「積極性」を発揮してもいいということを相手に理解し、知ってもらえればすんなり行くことが多いですが、この場合はある程度自主性や積極性を発揮してセックスをしているにも関わらず、阻害 要因に阻まれているので、こちらからの働きかけがBの場合よりも重要になってきます。

ドーパミンが大量に分泌される状態は、少なからず「おかしくなっている状態」になるので、その領域に達する直前の状態になった時に、理性的な女性は急激にブレーキがかかります。

最後の一線を越えるためにこちらが働きかけることができる方法は「煽る方法」と「迎える方法」とのふたつがあります。

次章へ続きます。